12月号(へいせい9ねん12がつ1にち)

高いところは苦手なの

 ときどきカゴを出してもらい、廊下を走り回るたっぷ氏とぴっぴ嬢。廊下の端から端までを飛び回るぴっぴ嬢とは対照的に、外へ出るなり隣のモモ嬢のカゴにエサを探しに行くたっぷ氏は、常に動きがのろい。まるでカメが這っているよう。
 それでも、数十分外に出ていると、廊下のあちこちを動き回り、最後は決まって玄関に置かれている水槽へ登っている。水槽をガラスと壁のわずかな隙間から登っていると、エンゼルフィッシュが威嚇してくる。どうもそれを楽しんでいる様子であるが、情けないことに水槽の上まで上がるとそこから降りることができなくなってしまうらしい。オロオロしながら人間に救いの手を求め、無事下ろしてもらうのである。
 にもかかわらず、数日経ってまた外に出ると、また水槽の上で立ち往生している。懲りないリスである。


水槽の上で途方にくれるたっぷ氏
冬のリスにはご用心


 今年で2回目の冬を迎えるモモ嬢。暖かい季節にはとってもラブリーで、エサをもらうのにも人見知りするような彼女は、冬が近づくと突然豹変する。カゴに手を近づけただけで飛びかかってこようとするのである。エサをあげるときにも、いつもなら、カゴの入口を開けようとしただけで、エサを入れる邪魔にならないように二階へぴょんと上がるのが、手に噛みついてエサを奪い取るような行動をする。どうやら冬支度のために気が荒くなるらしい。今はただ、春になって、またラブリーなリスに戻るのを待つばかりである。
 ところで、他のリス、たっぷ氏とぴっぴ嬢には、こういう豹変の様子はない。彼らには、もはや野生はないのかも……。

甘いものがお好き

 普段はのそのそ歩いてぴっぴ嬢に蹴飛ばされているたっぷ氏。ところが、大好物に関してだけは敏感で素早い。
 飼い主がケーキを買って帰ってくると、普段は小屋から出ても来ないくせにバタバタ騒ぎ始め、ぴっぴ嬢がもらった生クリーム付きのイチゴを電光石火の早業でかすめ取るのである。ただ、生クリーム以外には興味はないらしく、きれいに舐め終わるとイチゴはそのままエサ箱に放置している、リスの風上にもおけないヤツである。

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