アスキー出版局のソフト

 PC-6001の懐かしいソフトといえば、おそらくほとんどのユーザーがAXシリーズをあげるだろう。1つのパッケージに2つから4つのゲームが収録されていて、どれも完成度は高かった。ゲームだけでなく、デモンストレーションプログラムも収録されていて、その中にはPC-6001の能力の限界に挑戦するようなものもあった。カセットテープのA、B両面に同じプログラムが収録されていて、リードエラーへの対策もされていたことも評価できる。

AX-1 アラビアン・ラプソディ(定価2,800円)
対応機種 PC-6001
 収録されているプログラムは「アラビアン・ラプソディ」「プロックくずし」「ハイスピード・バリケード」「サイモン」の4つのゲームとそれらの紹介デモンストレーションです。
 表題作の「アラビアン・ラプソディ」はランダムに並んだ数字の中に自分と敵がいて、進みたい方向にある数字を押すとそちらへ進むというもの。見かけはあまり面白そうに見えませんが、やってみるとハマってしまうアイデアゲームです。なまじグラフィックがないだけに、今でも通用するゲームではないでしょうか。
「ハイスピード・バリケード」は映画の「トロン」でも出てきたこの当時はよく見かけたタイプのゲーム。壁にぶつかるとアウトというアレです。ただ、この製作者のおちゃめなところは、最初に速度を選べたこと。最速にするとPC-6001をもってしても、一瞬で勝敗が決まり、はっきりいってゲームになりません。しかし、私はよく友人とこの最速を楽しんでましたが。

AX-2 宇宙輸送船ノストロモ(定価2,800円)
対応機種 PC-6001
 収録されているプログラムは「宇宙輸送船ノストロモ」「スティールエイリアン」「イン・ザ・ウッズ」「デュアルエイリアン」の4つのゲームとそれらの紹介デモンストレーションです。
 当時このAX-2のことを私は「エイリアンパッケージ」と呼んでいました。「イン・ザ・ウッズ」はエイリアンではありませんが。4つともグラフィックモードを使っておらず地味ですが、どれもコツを掴むとつい長時間プレイをしてしまう面白さがありました。
 ところで、直接ゲームには関係ないのですが、このAXシリーズにはかなり詳しいマニュアルが付属していて、ゲームの紹介には楽しいバックグラウンドの物語などが書かれていて、これだけでも随分楽しめたのです。ほんとに、今改めて見てもこのシリーズは良質のゲーム集です。

AX-3 マイクロオセロ(定価2,800円)
対応機種 PC-6001
 収録されているプログラムは「マイクロオセロ」「インターファイト」「コズミックレボ」「スロット・ポーカー」の4つのゲームとそれらの紹介デモンストレーションです。
 そこそこの強さのオセロはなかなか良くできていましたが、それほどオセロが好きだったわけではないので、あまり遊びませんでした。このパッケージで一番遊んだのは「コズミックレボ」。キャラクターゲームですが、単純なシューティングは楽しめました。
 ただこのAX-3には欠点がありました。PC-6001の周辺機器の中でももっとも基本であるROM/RAMカートリッジを挿したままでは、どのゲームも動作しないことです。カートリッジを挿すとメモリマップが変わってしまうというPC-6001の仕様が原因でしょうが、いちいちカートリッジを抜くのは案外面倒でした。
 結果、私にとっては、シリーズの中では一番遊ばないパッケージとなってしまいました。

AX-4 ブラックホール(定価2,800円)
対応機種 PC-6001
 収録されているプログラムは「ブラックホール」「カーレース」「アメリカンフットボール」「シャット・ザ・ボックス」の4つのゲームとそれらの紹介デモンストレーションです。
 AX-3までで、グラフィックを使用していたのは「ブロックくずし」だけでした。ところがこのシリーズでは、「カーレース」と「シャット・ザ・ボックス」でグラフィックモードが使用されています。しかも、「シャット・ザ・ボックス」はPC-6001のもっとも細かい256×192のモード。2色しか使えないモードですが、このゲームをロードしたとき、「アレ、ちょっと色が付いて見える」と思いました。モニターにTVを使用しているため、走査線の関係からくる色ずれのせいだったのですが、これが次のシリーズで重要な意味を持っていたとは、愚鈍な私にはまったく想像もつきませんでした。

AX-5 オリオン/クエスト(定価2,800円)
対応機種 PC-6001
 収録されているプログラムは「オリオン」「クエスト」の2つだけ。今までついていたデモンストレーションもありません。しかし、このシリーズを知っている人なら、あえて説明する必要もないほどの秀作です。私など、これで前日の夜に徹夜して明くる朝、実家に帰る新幹線に乗り過ごした経験があるほどです。
 このパッケージにはいくつかの特徴がありました。まずROM/RAMカートリッジを必要としたこと。どちらも32KBを目一杯使ってプログラムされています。特に「クエスト」はほんとにギリギリです。
 それから、高解像度グラフィック画面で4色表示を可能としたこと。本来2色しか出せないモードで、色ずれを逆に利用して4色表示させたのには驚かされました。ちなみに色ずれが出ないユーザのために、本来の4色モード(色に白黒が使えないため見た目のイメージがかなり違う)用のプログラムもちゃんと収録されていました。
「オリオン」は宇宙空間でのシューティング、「クエスト」は迷路脱出ゲームですが、PC-6001の性能で、どちらも3D表現を行ったというのも特筆すべき点です。特に「クエスト」は、当時他のマシンでもここまでリアルタイムにワイヤーフレームが動いているものはなかったと思います(私が知らないだけかもしれないが)。

AX-6 パワード・ナイト(定価2,800円)
対応機種 PC-6001
 収録されているプログラムは「パワード・ナイト」「マスター・マインド」「ヘッド・オン」「スペース・エネミー」の4つのゲームとデモンストレーションプログラムです。
 AX-5があまりにも高レベルだったため、質が落とせず大変だったのではないかと、他人事ながら思っていました。しかし、しっかり期待に応えてくれたパッケージです。「パワード・ナイト」はキャラがどこぞで見たようなというものでしたが、PC-6001にしては大きなキャラクターが動き回るので迫力がありました。かなり遊べたゲームです。
 このパッケージに収録されているプログラムで一番驚かされたのは、「デモンストレーション」でした。それまでのデモンストレーションはゲームの紹介でしたが、これは違います。「AX-6 フォー アスキー」とノイズ混じりですが、しゃべるのです。PC-6001は後にボイスシンセサイザーが発売されたが、この時はまだパソコンをしゃべらせるなんてできるとも思いもよらなかったのですから。

AX-7 ポリス&ギャング(定価2,800円)
対応機種 PC-6001
 収録されているプログラムは「ポリス&ギャング」「ザ・アストロディアン」「ギャラクシーファイト」「ゴッド・ハリケーン」の4つのゲームとデモンストレーションプログラムです。
 個人的には、AXシリーズの最高峰だと思っているパッケージです。当時、後継のPC-6001マーク2が発売されたばかりで、店頭で可愛いペンギンのキャラクターが動き回るデモをやっていました。これがなかなか楽しかったのですが、このAX-7のデモはそれ以上に素晴らしいものでした。マーク2よりはちょっとふとっちょのペンギンたちが出てきてブロックを動かし、画面にAX-7の文字を作るのです。当時、私は毎日一時間くらいはこのデモを観ていたと思います。
「ポリス&ギャング」は、画面上の金塊をパトカーに捕まらないように集めていくという単純なルールのゲームですか、ひたすら遊び続けてしまう完成度の高いものでした。そして、おそらくこれがPC-6001のアクションゲームで最初にきちんとBGMを鳴らした物だったと思います。今では音楽が流れているなんて当たり前ですが、この頃は効果音だけだったんです。

AX-8 ギャラクシーミッション(定価2,800円)
対応機種 PC-6001/mk2
 収録されているプログラムは表題作の「ギャラクシーミッション」のみです。ただし、PART1とPART2に分かれていました
 パッケージの中には連邦政府評議会議長からの指令書が入っていたり、天体レポートが入っていたりとSFファンだった私にはたまらない作りのゲームでした。しかし、遊ぶために覚えなくてはならない要素が多く、結果的にAXシリーズでもっとも遊んでいないパッケージとなってしまいました。もう少し頑張って遊んでいれば面白かったのではと思うのですが。

AX-9 3Dフライトシミュレータ(定価2,800円)
対応機種 PC-6001/mk2
 収録されているプログラムは「3Dフライトシミュレータ」「ブルースカイ」「バウンダーロボ」の3つのゲームとデモンストレーションプログラムです。
 AX-8ではなかったデモンストレーションが復活していたのが個人的には嬉しかったことです。本当にこのシリーズのデモには楽しませてもらいました。このAX-9では、コンピュータ絵本を実現させていました。画面全体を別の物に書き換えるというのはこの頃は結構大変なことでした。ハードディスクもフロッピーもなく、本体のメモリも小さい上、データをテープで読み込むのですから。今では何でもないことですが、このデモもPC-6001の限界に挑戦し7枚もの絵を表示させていました。
 ゲームの方は、逆に「3Dフライトシミュレータ」でPC-6001の力のなさを感じてしまいました。もっとも3Dワイヤーフレームは、この頃は上位機種でもカクカクした動きでしたが。

AX-10 アウトロー(定価3,800円)
対応機種 PC-6001/mk2/SR
 収録されているプログラムは「アウトロー」「セブンバイブル」「ポップハンド」「りすにんぐ」の4つのゲームです。
 AXシリーズの締めくくりは1000円高くなって、デモンストレーションもなくなってしまいました。
「アウトロー」は、画面下のピストルを動かして悪漢を撃つというガンアクションゲームです。キャラクターも大きく、時々撃ってはいけない一般人が出てきたり、ライフを回復してくれる医者が出てきたり、単純な割に遊べるゲームで、結構ハマって遊びました。