平成5年度しおり
巾約24センチ(紙巾約21センチ)全長約250センチ

 おそらく驚かれたのではないかと思いますが、正真正銘合宿参加者に配られた「しおり」です。といっても見ての通り、「巻物」です。
 以前から巻物を作ってみたいと思っていましたが、実際の巻物がどのような材料でどのように作られているのかは皆目分かりませんでした。
 まず中心の芯ですが、これはホームセンターなどで売られている丸く削られた木材を適当な長さでカットし、ヤスリで面取りして塗料で黒く塗りました。手間はちょっと掛かりますが、実際の巻物のそれと見比べても遜色ない出来映えです。
 表層は市販されている和紙ですが、問題は中の紙です。細長い紙というのは文房具屋さんに行っても売っていません。模造紙を切っても大した長さにはなりません。糊貼りして繋げれば長くなりますが、やはり繋ぎ目のある巻物というのはいただけません。
 しかし、都合の良いものがありました。障子紙です。これは正に巻物状態で売られていますし、しかも紙の質が巻物向き(?)です。ただ、紙は手に入れることができましたが、問題はそこに書かれる文字です。手書きでは大変ですし、同一の出来にはなりません。パソコンの毛筆体を使ってインクジェットプリンタで打ち出すことにしましたが、これはなかなか大変な作業でした。今のパソコンに比べると、処理速度もかなり遅く、しかも長い障子紙は放っておくとだんだん印字位置がずれてきます。ときどき位置を調整してあげなくてはなりません。この打ち出し作業は2台のパソコンと2台のプリンタを使って3日も掛かりました。
平成5年度しおり  他にも意外に苦労したのが巻物の留め金(正式名称は何ていうんでしょう?)、最後にくるくると紐を巻いて、その紐の間に挿して留めるアレです。こんなもの、売ってません。いえ、どこかでは売っているのかもしれませんが、どうやって手に入れられるか皆目見当もつきませんでした。そこでこれも自作です。プラ板にポンチで穴を空け、その回りを瓜型に切り取って、それを黒く塗装しています。
 結果、なかなかの出来映えではないかと自分でも思っているのですが、苦労を考えるともう一度作りたくない代物です。